2010年 04月 05日
「野口英世は眠らない」山本厚子著
東京・信濃町に英世の博物館がある。慶応病院の裏に当たるところだ。とても質素、というより大地震で倒壊しそうな古いビルの一階にある。お世辞でも立派な博物館とはいえない。置いてあるものも大したものはない。故郷の猪苗代にもあるようだが。
だが、これを読むと、英世の世界がグッと接近する。大の放蕩家、唯我独尊の極致、その一方で驚嘆するほどの努力家。米国人の妻、仲の良かったドイツ人の女性助手。初恋の人、いいなずけの話など。人間臭さが漂う。
5年前くらいにエクアドルのグアヤキルに行ったことがある。その時に、ガイドさんが市内に「英世通り」があると教えてくれた。もちろん行ってみた。この本にもそれが登場する。なぜ、英世通りがあるのかも、これでよく分かった。
寝る時間を惜しみ、超人的な力で、学歴不足をカバーし、世界的な研究家になった英世の凄さをこれで初めて知った。小学校時代に読んだ伝記とは、程遠い、いや、はるかに凄い生き様だ。幾度となく押し寄せる修羅場をかいくぐり、最後にアフリカの大地で戦死を遂げた、怒涛のような人生だったようだ。
私もこんな人生を歩みたいな。だが、胆力もないし・・・・、英世の超人的なパワーを思い知ったぜよ。
by kogaj
| 2010-04-05 23:52
| 書評