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カール・フォン・オシエツキー

今年のノーベル平和賞の授与が中国の反体制活動家、劉氏に決まった。そのニュースを聞いた瞬間にこのオシエツキーのことが頭に浮かんだ。やはり、ノーベル平和賞を受賞した活動家である。活動家というよりジャーナリストと呼ぶ方が適切だろう。

オシエツキーは、戦前のドイツでヒトラー率いるナチスドイツを徹底的に批判した雑誌の編集長である。ドイツが密かに進めている再軍備などを報道、政権の恨みを買った。国家反逆罪で逮捕され、服役した。

拷問などもあったのだろう。オシエツキーは、送り込まれた強制収容所で結核を患い、体調を崩す。刑の服役中にノルウェーのノーベル平和賞委員会から授与の発表があった。ナチスドイツは、オシエツキーに賞の受賞拒否を迫る。幹部が病室を訪れ、拒否すれば、拘束を解くと甘い汁をちらつかせる。

だが、オシエツキーは、受け入れを断固拒否、受賞した。ナチスドイツへの最大の抵抗と考えたからだろう。娘が代理で授賞式に出席した。その後、オシエツキーは、結核で死亡する。1938年のことである。

今回の発表を前に、中国政府は、平和賞委員会に授与を決めれば、両国関係は悪化すると警告したようだ。委員会は、この圧力に反発したのではないのか。授与を見送れば、中国に屈したと受け取られると、逆に考えたのではあるまいか。

決定前の私の授業でこの反体制活動家の話をした。もちろんノーベル平和賞の受賞の可能性についてである。講義を受ける学生の中にいた中国人の学生は、劉さんを支持し、ノーベル平和賞に輝いてほしいとの趣旨の話をしていた。自由を求める声は、中国で確実に拡大している。

革命に近い政変があるとしたら劉さんが国家的指導者になるのだろうか。2-3年前から急速にぶれが目立ちだした中国。共産党政権は、これからいったいどうなるのだろう。
by kogaj | 2010-10-09 08:42 | ジャーナリズム

加齢で難聴になった高齢者が手話に挑戦する日々をリポートします

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