人気ブログランキング | 話題のタグを見る

福島原発事故報告書


福島原発事故報告書_c0018010_757667.gif凄い報告書が出たものだ。1年4か月前に爆発事故を起こした東京電力福島原子力発電所の調査報告書である。メンバーのうち委員長が原発についてはド素人ともいえる医学界出身の大学の先生だったから、超甘々の結果が出るものと思いこんでいた。それとはまったく逆の結果となった。先見性のなさ、お恥ずかしい限りである。

もしかしたら、この手法は、日本の歴史にとっては画期的なものとなるかもしれない。ただし、来週以降、政府・経済産業省、東京電力、東電寄りの、いわゆる御用学者がどうでるかである。その意味では、見ものだ。週刊誌もどう書くかな。これは、東京の特派員を通じて、海外にも発信されており、

その論調は興味深いものがある。中味のある報告書となったのは、メンバーである弁護士出身で大学の先生の野村さんややはり大学出身のラジカルな八田さんの功績といえるかもしれない。

試みに新聞に掲載されてる報告書の要旨を読んでみた。時間があれば、全文を読んでみたいと考えている。そうではなければ全貌は分からない。報告書の全体を貫いているのが、行政と企業の癒着、規制当局が規制の体をなしていなかったという点である。いわゆるトリコになっていたという考え方である。言いえて妙である。

事故は防げなかったのか。これについて報告書は、「耐震設計は、最低限の改善すら怠っていた」「規制当局は対応の遅れを黙認していた」などなど。こういう具合であれば事故は起きて当然だし、防げるはずもない。

東電当局の対応のまずさ、マニュアルや訓練の不十分、政府の無策・・・報告書は、数々の問題点を指摘している。いずれも、これまでの大事故で公表が避けられていた指摘ともいえる。こうした率直な報告書がまとまった理由はなんだろう。

私は政権交代ではないかと思う。自民党政権下では、このような報告書をまとめるような委員の人選もされなかったし、報告書を作成しても握りつぶされていたと想像する。その意味では、反面教師ともいえる。


福島原発事故報告書_c0018010_7572579.png最後の最も重大なポイントを書いておこう。なぜ、事故が防げなかったのか。この理由について、報告書はこう書いている。リスクマネジメントに欠陥があり、それを規制当局が許していた。規制当局がその体をなしていなかった。事業者が規制強化をかたくなに拒み続けた。その結果、規制は世界標準から後れを取った。

規制する立場とされる立場が逆転し、当局が事業者の虜になった。この結果、監視・監督機能が崩壊した。規制当局は、国民の健康と安全を最優先に考える・・・・風土、文化も欠落していた。事故対応で縦割り行政の弊害も顕在化した。諸外国の事故、安全への取り組みを真摯に受け止め法規制を見直す姿勢も欠けていた。

とにかく、凄い内容である。これは、日本の企業、組織、政府、自治体に対し強烈に反省を迫る内容でもある。時間があれば一度皆さん読んでいただきたい。
by kogaj | 2012-07-07 07:24 | 経済

加齢で難聴になった高齢者が手話に挑戦する日々をリポートします

by kogaj